「ウエー 新にんげん狩り」 / 安部公房?

こんにちは、コタローです!
最近、よく読書をする場所はここ。


フィットネスクラブのプールサイド。
ちょうどビルの最上階がプールとなっていて解放感がある。
但し夙川駅前のためそこまで眺望は良くはないが、
リゾート気分?でいける。これでCavaとか飲みながらだと最高だが
一応、フィットネスということで×。 

 
さてその第1弾。本の紹介。
安部公房さんの作品は、過去に「砂の女」を読んでいる。
感想はいずれ再読したときに取っておくが、彼の作品は
非現実的な世界を描いているように見えるが
全て現実の世界と置き換えることができるネタで構成されており、
その現実の実態をするどく浮き彫りにしてしまう恐ろしさを秘めている。
 
今回の作品「ウエー 新にんげん狩り」(表題はかなりイカレている)もとても恐ろしく
素晴らしい作品(演劇の台本の形式をとっている)だ。
その舞台は、動物から発せられる「気」=アニマル・スピリッツによって
精神病を治す診療所。所長はお金持ちのお医者さん。
ある日、その診療所に巨大な荷物が届く。送り主は覚えのない者。
荷物の中は、人間そっくりの動物「ウェー」(男女のツガイ)である。
見た目は人間そっくりだが、人間のような文明を持ち合わせていないという。
ウェーの特徴は繁殖能力に優れ、発育が早く半年で成人になることだ。
そのウェーは2日間無料お試し期間。
もし興味を持てば、ウェーを高額(8625万円?)で買い取ることができる。
 
しかしウェーは人間であった。
お金持ちのお医者さんから金をだましとろうとした息子の妻の姉夫婦が、
ウェーになりすましだ。
しかしお医者さんはウェーの魅力にとりつかれてしまった。
ウェーを精神病の治療に利用するばかりではなく、その強力な繁殖能力を活かし、
労働力や兵士として売り出す事業を思いついてしまう。
最初はウェーの魅力に惹かれたが、いつの間にか金の魅力に変わってしまったわけだ。
 
ウェーが「自分たちは人間だ」と告白しても、お医者さんはそれを認めようとしない。
ウェーが人間であると認めれば、莫大なお金のなる木が全て水の泡になってしまうからだ。
その他の登場人物はウェーが人間であること知っているにも関わらず(物語の経緯上)、
その真実を強制的に否定され、檻に入れられることになる。
更にウェーを演じた男女も、ウェーにとりつかれてお金に目がくらみ頭が逝ってしまった
お医者さんまでも檻に入ってしまう。
つまり登場人物全員が檻に閉じこめられてしまうのだ。
 
しかし、ただひとり檻に入れられなかった人物がいる。
精神病の患者である。
その患者は人間そのものに対して嫌気が差しており、ウェーのアニマル・スピリッツ
による治療を受けていた。
治療中、ウェーを演じる「人間」の言葉をきくが、それを本物の
ウェーの言葉と勘違いし、完全に精神が崩壊しウェーになってしまう。
その患者は全員が閉じこめられた檻を尻目に、「みなさんもウェーになりましょう」と
つぶやきながら去ってゆく。
 
粗筋だけ書くと単に逝かれた話だ。
この物語が示しているのは、権力によって真実は簡単に歪められる、ということだ。
診療所の中では、金による買収や、お医者さん(=権力者)によって、人格は労働力や兵士
とされ(「モノ」扱い)、人格は人格として扱われない。
つまり人間が人間であることを決めるのは権力次第であるということ。
人間社会における「権力」と「人間存在」の構図をえぐり出した素晴らしい作品だ。
人間の欲望は、「金」、「権力」、そして「永遠の命」とくるのだろうか。
まだ永遠の命までの技術がないから、若さをできる限り保ち、より長く生きることが
人間の最大の欲望かもしれない。
「金」、「権力」は、他の人間を従える欲望なのではっきり言って他の人間にとっては迷惑なモノ。
それに比べ第三の願望は自分自身への投資(他人の生血や臓器をもって達成する場合も
あるか・・・。)なので真っ当なモノと思えるがどうだろう。

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